『士郎、お酒時々反転衝動?』
『士郎、お酒時々反転衝動?』 ○月×日 日曜日、時刻は五時半。士郎と桜はいつも通り台所に立ち、夕食の準備を始めようとしていた。 「どうしようこれ・・藤ねぇにはもう持ってくるなって言ってあるんだけどなぁ」 藤ねぇこと藤村大河、藤村組に若き大虎であり我が家の問題児である。 「あ、あはは・・どうしましょう?先輩」 普段は各調味料(醤油や酢など)を入れてある戸棚が一食に染まっている。 それは藤村家の秘酒[虎殺し]、まぁ・・一言で言って日本酒である。 「「・・・はぁ」」 俺と桜の溜息が重なりあい、どうしたものかと考えていると・・ ガラガラ、と、扉の開く音がした。 「ただいま帰りました、シロウ」 「ただいまー、士郎ー!荷物運ぶの手伝ってーー!!」 「リン、荷物なら私が運びましょう」 「おにーちゃーん!ただいまー!!」 どうやらお出掛け組みが帰ってきたようだ。急いで玄関に迎えに行く。 「姉さん、セイバーさん、ライダーにイリヤさん、おかえりなさい」 「みんなおかえり。今から夕飯作るから少し待っててくれるか?」 酒に気を取られはしたが既に下拵えを終えていたので桜と協力してぱっぱと調理をすませ、皆を居間へ呼ぶ。 「桜、カレンとバゼットを呼んできてきれるか? 後は並べるだけだから」 「はい、了解です」 トテトテと走っていく桜。さて、こちらは料理を運んでしまおう。 今日の料理はシンプルに和風一色、肉じゃがにコンニャクと竹の子の煮付け、それにホウレン草のお浸しに焼き魚。うん、我ながら上出来♪ そして料理を全て並び終える頃・・スーと居間と廊下を繋ぐ扉が開き、 「すみません、待たせてしまいましたか?」 と、詫びを入れて入ってくるバゼット。その裏にカレンもいた。 「よし、みんなそろったな」 「シロウ、タイガはよろしいのですか?」 「あら、そういえばいないわね。いつもならこの時間にはお茶碗叩いてるのに」 「ん、あ〜・・藤ねぇは、アレだ」 「あぁ〜そうだったそうだった。バゼットとカレンを家に住ませるって話した時に飛び出していっちゃったんだっけ・・」 そうなのだ。二人を家に住んでもらうと話したら急に震えだし、士郎のNo1ホステスーーー!!とか訳のわからないことを叫んで飛び出していってしまった。 「あの人ならお昼のときに門のところで見たわ、なにか様子を見ているよ様だったけど」 「私たちが何かしたのでしょうか。それでカレン、彼女は?」 「何度かこちらを見ていましたが、士郎の馬鹿と叫びながら行ってしまいました」 「いや、バゼットは悪くない。でもまぁ・・あとでちゃんと話さないとな。・・さて! 遅くなっちゃったけど食べようか、いただきます。」 「「「「「「いただきます」」」」」」 セイバーは熱い肉じゃが頬張って満足気にコクコクと頷き、凛はやっぱり和食ではかてないか・・などと呟いている。いつも通りの楽しい食卓・・だったのだが 「シロー何か飲み物あるー?」 「私もちょうどほしかったところです、取ってきましょう」 と、ライダーが台所に飲み物を取りに行き、持ってきたのが藤ねぇが大量に持ち込んでいた日本酒[虎殺し]・・ああ、嫌な予感がする。 ・ ・10分後 ・ 部屋の隅に一升瓶を口に突っ込まれて倒れている男一名・・そして 「あはははははは〜♪ きもちいい〜」 「せんぱぁ〜い☆ のんれまふかぁ〜?」 「キャハハハ〜凛と桜が顔真っ赤にして分身してるぅ〜」 「聞いているのれすかシロウ!そひてわらしはこう言っへやりました・・」 「と、遠坂に間桐当主!! 魔術師たるものが酒に飲まれるなど!」 「ほおっておいたほうがいいわバゼット・・ヒック」 最初に目を光らせたのは遠坂とイリヤ。そして初めは遠慮していた桜も遠坂のしつこい絡み落ち、セイバーも「王様はお酒も飲めないの?」などといわれムキになり参戦。そんな感じで次々と酒盛りに加わって行き、今に至る。 「ほぅらシィロォ〜起きて飲みなさいよぉ〜♪」 「と・う・・さか?」 無理やりに意識を呼び起こされる。頭がガンガンするが、気力で状況を把握する。そして驚愕、部屋は滅茶苦茶夕食の残りは床に散乱し、壁は所々皹が入り、なぜか穴があいている箇所もあった。 「・・なんだこれ」 「「にゃははは〜わかんなぁ〜い☆」」(凛&イリヤ 「くくくく・・やりまふね魔術師(メイガス)」 「貴女こそ、サーヴァントといえど私の拳についてこれた物は久方ぶりだ」 「らぁいだ〜☆」 「サ!サクラなにを!?」 は、ははは・・部屋がボロボロになっていることに腹立ったのか、料理がブチマケられたことに腹が立ったのか、誰も人の話を聞かずに酒を飲み続けたことに腹が立ったのか・・わからない。でも何だこの感じ・・・酒が回っているせいか、妙に頭が冷えていく。誰かが何かを言っているようだが、聞こえない・・そして 「・・・いいかげんにしろ」 普段ではありえないほどドスの効いた彼の声に、部屋の空気が一瞬にして凍りついた 「部屋・・ボロボロになってるし、料理もメチャクチャだ・・ははは」 立ち上がって笑う彼を見て全員が思った。・・ヤバイ、と 「・・ゴクッ、し・・士郎?」 少しの沈黙を破り、凛が恐る恐る、できるだけやさしくにこやかに士郎に話しかける。が 「くく・・ははは、遠坂? みんなも・・俺、最初に言ったよな? 酒はダメだって、ろくな事にならないからって、それなのに・・これだもんなぁ、ク・ククク、アハハハ! ちょっとお仕置きが必要だなぁ」 彼とは思えないどす黒い笑顔、あの桜も含め全員が真っ青になっている・・いや、そんな中、なぜか目を輝かせるカレンとバゼット。 「やはり似ている」 「ええ、笑い方なんて特にそっくりだわ」 「・・ハッ!?サクラ!逃げます!」 カレンとバゼットが話しているうちにサクラを連れての逃走を試みるライダー、しかし 突如目の前に(ビィィィィィン)と音を立ててゲイボルクが突き刺さった。 「ッ!! はやい!?」 「ライダー? 俺、まだ話してる途中なんだけど?」ゴゴゴゴゴ 「スッスミマセンお姉さ・・じゃ、じゃなくてシ、シシ、シロウ!!」 「セイバー! 貴女何とかしなさい!」 イリヤがセイバーに士郎を落ち着かせるよう言うと・・・ 「シロウ、私はあなたの剣となり盾となることを誓った!さぁともに行きましょう!」 「って何言ってやがるんですかセイバーさん!?」 桜がセイバーに叫ぶが、士郎は何事もなかったかのようにセイバーの高等部をガッチリとつかんだ。そしてまた・・笑った 「心配しなくても大丈夫だ、桜」 「い!イタタタタ!痛!痛いですシロウ!マスター!ご主人様!?」 体は剣で出来ている――― 「せ、先輩!?」 ――血潮は鉄で、心は硝子 「誰にも加減する気・・ないから♪」 ――幾たびの戦場を越えて不敗 「な!?本気ですか衛宮士郎!この場で固有結界など!!」 ――ただ一度の敗走もなく、ただ一度の勝利もなし 「ッ!? 止むを得ない!アンサ――ムグ!?」 ――担い手はここに独り。剣の丘で鉄を鍛つ 「ダメー!お兄ちゃんが死んじゃうでしょ!?」 ――ならば、 我が生涯に 意味は不要ず 「その前に私たちが死にますよ?!」 ――この体は、無限の剣で出来ていた・・・ッカ!ゴォォォォォォォオウ! 「し!しまっ!」 閃光とともに焔が走り、部屋にいる全員を包んでいった 「ッ!キャァァァァァーーーー○×▲◆!?!」 了
by 朧撫子
すみません、実はSSを書くのはコレが初めてでして ありえないこともだらけで駄作ですが・・勘弁してくださいorz
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