The way to the end for four days of a promise
終わり無き夢を終わらせる為、今彼は明日へと続く道を登ってる。 繰り返す日々を終わらせる為、果ての無い未来へ進もうとしている。 たとえ私がその未来へ進めないとしても、後悔も未練も無い。 今の私は…この場所を騎士王、剣の英霊として、ただ護り抜く―― 剣を振るう、蠢く獣の群れを一閃。切り裂き、押し潰し、叩き潰し、破壊する。 星剣は闇を薙ぎ払い、深淵の闇に星の輝きを彩らせていく。 その輝きを飲み込むかのごとく、延々と増殖する獣。 一体、十体、百体、千体。 彼女はそれを前にしても怯むことなく、下がる事も無く、真っ向から迎え撃った。 彼と別離すると言うのに、不思議と心は清々しかった。 迷う事も、悩む事も無く、ただ自然とそれを理解、納得している自分がいた。 私は彼の、彼女達の未来への道を―― 数千、数万の獣を切り伏せてなお、彼女の剣戟はさらに加速していく。 絶え間なく、押し寄せる獣の奔流。 増殖していく深淵、押し返す星剣。 斬殺、爆砕、滅殺、粉砕、圧殺、彼女の剣は此処に来て、輝きをさらに増していく。 永遠に続く穏やかで、緩やかで、暖かい日々。 それは平穏な、夢の様な日々。 飽きの無い、毎日が全て今日で終わる。 失われ、二度と戻ってこない四日間。 私は正直、もっと、ずっと、この日常を続けて、浸っていたかった。 誰かの夢でも、それは私も渇望していた光景だった。 間違いかもしれない、嘘偽りかもしれない、それでも、私がこの日常で得た―― 風が弾け、闇を切り裂き、光が荒れ狂う。 淡い輝きを放っていた刀身は今、深淵を消し潰すほどの星光を溢れ出している。 人の想念によって星製された最強の幻想。 騎士王の、王者の、約束された勝利の剣。 光は、天を照らし、何にも縛られる事も無く、全力を開放しようとしていた。 「約束された―――」 今、私の想いは、 「勝利の―――」 この一撃に――!! 闇が切り裂かれる。 あらゆるモノを飲み込む光の濁流は、大気を貫き、獣の群れを消滅させていく。 幾千、幾万の数などモノともしない、圧倒的な一撃。 荒れ狂う光の後に残ったのは、音も無くたたずむ風と、静かな夜の闇。 「―――――――!!!」 だが、一瞬の間の後、支配から解き放たれたかの様に大気が振るえ、夜の闇が深淵に塗り替えられていく。 身体の魔力はほぼ全て解き放たれ、霞んだ視界が広がっている。 だが、それでも、止まらない、止めるわけにはいかない。 終わり無き四日間が、この夜が終わり、彼が、彼女達が未来への一歩を進む時まで。 「…未来を重んじぬ者達よ。我が全力全霊をこの想い、我が剣に賭して、貴様らに応えよう!!」 瞬間、戦いの幕が再び切って落とされた。
by 誠子
即興ですが、私が一番好きなホロウの一シーンを捏造して書きました。 この短編で少しでもセイバーに一票入れる気になってくれたら幸いです。 では、失礼しました。
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