制覇の道
「シロウ、全てを、制する」 「なんでさ」 まあ、遠坂にそそのかされた時に、運命は決まっていたのだろう。ぴょこぴょこと動く前髪が逆鱗だなどといわれ、苦労して弄った結果である。いい感じに黒く染まった、黒騎士王さまは、新聞の折込広告を見て、マク〇ナルドの全メニューをご所望だ。 桜とライダーは危険を感じたのか寄り付かない。見捨てられる辛さってこうなんだ。 遠坂は黄昏ている。 収入が増えず、養う人口が増え続けたため、衛宮家の食事は自炊が基本だ。反転すると味覚もそうなるのか、普段は『雑』扱いのファーストフードがお気に入りのなのだ。遠坂が喰わせたハンバーガーが好物となりこの始末だ。価格を概算すると、米なら50キロぐらい買えそうで欝になる。 「米だったら一表近く買えそうだな…」 「なぜお米」 赤いあくまの突っ込みも元気がない、黒いオーラを放つ黒のだいまおうに、下僕扱いされる状態が続いているためだろう。魔術防護の堅いセイバーは、魔術師の天敵といってよい。いつも強気の遠坂も、最優かつデンジャラスな、黒騎士セイバーがわがままを言い出すと手に負えないようだ。バーサーカーの狂化と同様、能力にも変化があるらしい。セイバーをからかった、イリヤを庇った、バーサーカーすら楽勝でボコって見せた。とにかく感情にストレート、そのへんは藤ねぇ並みだ。そのせいか、藤ねぇとはおかずを取り合ったりしてるものの、馬が合うらしく。案外、いつもどおりの関係だったりする。 「セイバーちゃんのイメチェン、大人っぽくっていいじゃない」 だそうだ。 取り合えず、チラシのクーポン券とセットの組み合わせで、安く上がる計画を立てて、新都へ出かけることにする。遠坂と、キッズセットを購入するために、イリヤにも付いて来てもらうことにする。セイバーは鎧姿だし、どうしたもんだか。 朝メニューと昼メニューを連続で制覇するため10時少し前に、店に入る。バイトの女の子の0円スマイルが迎えてくれる。 取りあえずメモを見て、朝食セットを注文し始めると、向こうの笑顔が引きつってくる。 「あの全部そろえてお出しするには、少々お時間がかかりますが…」 「ああ、それは承知してます。ある程度できたところで声をかけてくれれば取りにきます。一度に運べる量じゃないし。あとすぐに昼メニューの時間になると思うので、引き続いて、このメモのセットの組み合わせもお願いします。後単品でこっちのりすとを」 「あの、お持ち帰りじゃないんですか…この量だしてっきり…」 4人で頼む量じゃないからそう思うか 説明する気がしないので、言いべきことを言っておく。 「もらった品のチェックリストに、するからレシート最初に下さい」 「てんちょ〜」 ついに営業スマイルが品切れた。 レジに次々と入力しながら、注文を読み上げていくと。調理場の方から 「マジ?」 「客席、混んでないけど…」 「こんなに、バラけてると時間かかるよ」 「店ちょ〜」 などと声があがる。注文どおりにレジの入力を続けるうちに、ありえない入力のためかレジがフリーズしてしまい。店長らしき人が事務所から飛び出してくる、調理場も戦場のような状態になっている。 やむを得ず、店長に「全メニュー制覇のために」こうしていることを伝えると。 「こちらのメモは、事務所でコピーしてお返ししますので、チェックリストはこちらをお使い願えませんか。レシートは申し訳ないんですが。いくつかに分割しないと登録件数がオーバーになってしまうので…」 どうやらバイト嬢は知らないらしいが、責任者はさすがに、そのあたりまで熟知している、うん手ごわいな。 ここまでで結構時間が経っている。 「ちょっと、なにやってるの彼女、遅いって怒り出して、リンに当たってるわよ」 イリヤがやってきた、黒いセイバーは、いつも以上に気が短いので、大変だ。 「お待たせして申し訳ありません」 朝食分の、メニューの切り替え時間のためだろう。朝食用で注文が無かった。調理品済みの本来なら廃棄してしまう分の、商品ををサービスとしてくれた。 「ところで全メニューという目標なら、特別に誕生日セットも、お出ししましょうか?誕生日の近い方の前祝ということにしますが、今日は別に予約があったので直ぐ、手配できます。○ナルドと記念撮影も出来ますよ」 さすがにスマイル0円の中間管理職、笑みをうかべて、しっかり商売上手だった。完全性はとあれば仕方が無い。その手配もしてもらった。 イリヤの手に安物の、おもちゃも渡してくれる。イリヤも子供扱いに怒る元気もないのか、ため息はつくものの、大人しくしていてくれる。 「この為に私は動員されたのね…」 レシートを分けただけの数、ただいまお作りしています、少々お待ちくださいの文字とナンバーの書かれた。厚紙を折った券が林立する席で、黒セイバーは朝食メニューを平らげている。 周囲のお客さんが遠巻きにして、事態をうかがっているが。異常な雰囲気の所為だろう、こちらが見ると、みなさっと眼をそむける…なんか悲しい物がある。 続々と、レシートとともに、セットの商品が運び込まれている。シロップやソースなどのパッケージも各種がてんこ盛り状態だ。それを我らの黒騎士王はただ黙々と、食べ続けている。なんだかアメリカ本国で一月こればっか食う、映画を撮ってて、俳優が成人病になったなんて話も聞くが大丈夫なのだろうか…。 ○ナルドの着ぐるみ?が来て、鎧姿の黒騎士と記念写真を撮ってくれた…。 なんかシュールな光景だ、従えられ一緒に写る遠坂の表情は虚ろだった。 やがて。 「うむ、堪能した」 「またお願いしますね」 とにっこり営業スマイルの店長。割引券などをくれた。もう来たくもないのだが…。 「シロウ、リン次は○ッテリアを制する」 続く…のかよ
by k.n
黒騎士のセイバーさんhollowでもっと 活躍してほしかったです。応援ssです
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