アンリミッテドタイガーズワークス
「おーす、ししょー。今日のテーマをよろしくっす!」 「よく聞いたブルマ! 今日のテーマはずばりこれ!」 どどんという効果音と共に脳裏に浮かぶ一文字。 『凛』 「なんでさ?」 この場で唯一の常識人の言葉は、当然の如く誰の耳にも届かなかったとか。 今日も今日とてBADEND。迷える者を救ったり、更に深い苦悩に突き落としたりと色々忙しい世界に再来した衛宮士郎君(18歳以上)。 「………なんかすごく懐かしい気が」 「そりゃあ、私達を温泉連れて行ってくれたし」 「ししょーは魂も温泉に浸かって気持ちよさそうでした!」 会話が微妙に噛みあってない。 「とりあえずイリヤに藤ねえ。なにしてんの?」 「のぅっ! イリヤではない! ブルマだっ!」 「のぅっ! 藤ねえではない! タイガだっ!」 「………はい?」 「ブルマ!」 「タイガ!」 「………ブルマにタイガーってなん」 「タイガーて言うなぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!」 虎の咆哮。虎竹刀の一撃。士郎はお星様になった。 「覚えておきな、士郎三等兵。『ー』が付くか付かないかでタイガー道場逝きか否かが決まるのだよ?」 「もー、ししょーたら。タイガー道場はここだぞ♪」 つん、とタイガのおでこをつっつく。 「あーちゃー、いけね♪」 舌を出して片目をつぶり、こつんと自分の頭を叩く。 後ろではピクピクと蠢く、士郎だった物。 よし、つかみはオッケーだ。 パクパクと山ほど積んであるタイヤキを食べながら道場スタート。 「今日のテーマは『凛』! これについてししょーから説明お願いするっす!」 「うむ。士郎はなんだかんだ言って女難の傾向が強い。よって、私たちが女性という観点から女性を説明しようかと思う」 「さすがししょー、BADENDの原因がほぼ100%女性という事実に基づいての説明ですね?」 「うむ。ここは一つ、私たちが女性に対しての悩みを解決しようかとっ! そして記念すべき第一回は赤い悪魔ッ!」 「それを選んだ理由はっ!」 「アミダくじ」 「……………」 ちなみに士郎だった物は全て遠き理想郷で再生中。 「まずは赤い悪魔こと遠坂凛さんの特徴をあげて見よう、ブルマからスタート!」 「悪魔」 「猫被り」 「臍が弱い」 「浪費家」 「ニーソックス」 「ルヴィアと親友」 「守銭奴」 「うっかり」 「独裁者」 「貧乳」 「贅肉」 「………言いたい放題だな」 ようやく復活したツッコミ専用。 「おお、生き返ったか勇者士郎。殺されてしまうとは情けない」 「いや、殺したのアンタだから」 「ちなみに設定上、死んだら所持金は半分になります」 「いやな、イリヤ。こっちにも生活費がな?」 「イリヤって呼ぶなぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!」 ブルマの叫び。ブルマアッパー。士郎はお星様になった。 「ししょー、所持金を半分手に入れたっす」 「さっきはタイヤキだったし、今度はクレープかな?」 こうして衛宮家の財政はまた一歩、破綻へ向かうのだった。 「話が進まないからそろそろさくさく行こうか?」 「了解っす、ししょー!」 紅茶を飲みながら優雅にクレープを食す二人組み。パトロンは遠い雲の向こう。 「さて、次は赤い悪魔の得意技。ガントについて」 「ガントって呪いの一種っすね?」 「はいそうです。中指を人に向けるだけで相手を風邪や病気にしてしまう呪いの一種です」 「欧米で人を指すのはこれが原因で失礼になるって本当ですか?」 「もちろんそれも原因の一つでしょう。しかし、文化や習慣と言うのはそんなに単純な物ではありません。ガントで向ける指一つ取っても人差し指や小指、指全部など諸説あります」 「つまり?」 「つまり他の原因がある事は極めて高いです。一概にガントが原因になるとは考えづらいとなる訳です」 まじめな話をしている所大変申し訳ないが、ブルマのクレープを物欲しそうに見るのはどうかと思う。 ブルマも早く落ちてこないかなーと、トランペットを買ってもらう約束をした少年の様な顔で空を見上げないで欲しい。せめて涎を拭け。 「ふむ、次は宝石魔術」 「リン女史の最大の武器であり、最大の泣き所っすね?」 実に的確な表現をして下さるブルマ。 「はい。一個数千万以上もする宝石に毎日休まず一年間魔力を送り続けて、やっと家数件分を破壊できます」 「………えらく燃費が悪いっすね」 「これは遠坂さん本人が明言した通りです。魔術をやるくらいだったら普通に生きたほうがずっと幸せになれる。主な宝石だけで数億も突っ込んでいる遠坂さんならではの重みがあります」 「? たった数億でそんな目くじらをたってることないでしょ?」 「………この、ブルジョア………この、悪魔っこ……………」 虎、怖い。 「で、これまでの話しから遠坂さんという女性を説明したいと思いますが」 「ますが?」 「これで遠坂さんの何が分かるんだろう?」 チュッドォォオーーーン 空から士郎が降ってきた。 「「おお、ナイスツッコミ」」 「やかましい、ツッコミたくてツッコンだわけじゃない!」 士郎さんいらっしゃい。 「………なあ、もう本気で帰らせてくれよ。いきなりここにいたと思ったら、二度お星様にはされるし、生活費は奪われるし」 「お兄ちゃん、ご馳走様」 「も、マジで勘弁してください」 しまいには泣き始める衛宮邸家主。 「ふむ、帰りたいか士郎くん」 「当たり前です」 急に思案顔になる虎。 「一ついい事を教えてあげよう。ここはBADENDを迎えてしまった人が来れる場所である。では、最大のBADENDとは何か分かるかね?」 「………クリア出来ない?」 「NO!」 「分かったししょー!」 はーいと、アッパー風味で手をあげるブルマ。 「どうぞブルマ君!」 「ずばり『出演できない』」 ピンポーン、パフパフとどこからか聞こえてきた。 ………ぶっちゃけ和風の道場には似合わんと思う。 「ブルマ正解! マーボー神父の様にGOODENDがなくても人気は出ます。しかし、出演しない以上人気が出るわけも無い!」 「まあ、それは分かったけどさ、何の関係があるのさ?」 「ふっ、ここまで言っても分からんとは。仕方ない、ずばり言ってあげよう」 すう、と息を吸って、虎の咆哮! 「士郎は『Fate/hollow ataraxia』にほとんど出演してない!」 …………… 「はい?」 「だってさー、四日間はアヴェンジャーが代理出てたし、オマケシナリオも四日間のうちでしょ?」 「ああ、そうかもねー」 今気付いたかのような悪魔っこ。こいつは絶対最初から分かってた。 「風雲イリヤ城も四日間の内だし、花札も微妙よね」 「って事は、お兄ちゃんが確実に出てたって言えるのは、後日談だけだよね」 「ちょ、ちょっと待………」 「と言う事は四日間の間はお兄ちゃんずっと居なくて、」 「つまり四日間はBADEND」 「聖杯戦争は無限に繰り返すから、」 「無限にBADEND」 「「つまり………タイガー道場門下生追加〜〜〜」」 テンポよく話を進める。というかお前ら打ち合わせしてただろ。 「いや〜、四日間にタイガー道場がないのはこういう裏事情があったからだったんだね」 「ワンツーマンで面倒を見ろってことっすね」 極めて嬉しそうな二人。士郎は膝から崩れ落ちた。 「門下生が増えた事も分かったし、次の議題に行ってみよ〜」 「行ってみよ〜」 「さて、次は花札勝利時の遠坂さん」 「おお、あれっすか。小生も気になっておりました」 「気付いておったか。越後屋、お主も悪よのぅ」 「はい、お代官様。スカートがあんなにめくれてもパンツが見えませんでして」 「普通ありえぬがのぅ。もしかしたら履いて無いと言う事も?」 「ありえますのう。うっかりで朝シャワーを浴びて、時間が無いから履き忘れ………」 「……………」 「……………」 「キャスター様、風の魔術を!」 「小次郎様、ぜひ秘剣を!」 「バーサーカー様、御身の風圧で!」 「ランサー様、そのスピードでスカートめくりを!」 際限なくテンションが増加する傍らで、涙する漢が一人。 「たのむ、誰かアンリミッテドタイガーズワークス(無限の虎道場)を終わらせてくれ」 正義の味方の戦争は、まだ始まったばかり……… あと、もうすぐマーボー神父が来るのは内緒の方向で(『Fate/hollow ataraxia』ほとんどに出てないから)
by しらき
電波受信完了。 て言うか、これは一体誰の応援なんだろう?(問題発言) ………凛のはずだったんだけどなぁ
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