"愛(出番）を求める子供（老人と骸骨）達に救いの手を" by サンサーラ

正月。日本中の誰もがのんびりと過ごし、冬木の街も例に洩れずのんびりした空気に包まれている。その空気とはあまりに無縁そうな二人もまた、冬木市某所でのんびりまったりぐだぐだしていた。これは、その二人（＋２）の会話を書き起こしたモノ。
「のう、アサシン」
「なんでしょう」
「やっぱり、姉の方がよいのぅ・・・」
「・・・さっぱり意味がわかりません」

～愛を求める子供達に救いの手を～

「のう、アサシン」
「今度こそ、まともな話ですね？なんでしょうか」
「何故、我らは今回出番がなかったのじゃろうな？」
「マスターは出ていたように思いますが・・・」
「阿呆め。あんなモノは出ていたとは言わぬのじゃ！」
「でも、きちんとアイコンも描かれて」
「いや、認めぬ！あんな聖○士星矢の真似事をしながら自分の寿命を数えるなど、出演したとは言えぬのじゃ！」
「妙にハイテンションですね、今日のマスターは」
「だいたいあのトラとぶるまもおかしいのじゃ・・・わしがせっかく出てきても一言でスルーしていくなど・・・」
「そりゃどう反応したらいいのかわからないからじゃないですか」
「否！そうではない！ああも簡単に流された理由は唯一つ！」
「絶妙に無駄な意見のようですが、何でしょうか」
「キャラが薄いからじゃ！」
「それだけはありえませんね」
「グサァッ！な、何故じゃアサシン！お主までわしを裏切るのか・・・」
「擬音を自分で言わないでくださいイタイ人だと思われます。裏切ったんでなく、事実を述べたまでです。私はともかく、マスターほど印象深い人物もそういないでしょう」
「そうか・・・そうか、わしはそんなに印象深いか」
「わかりやすいやられキャラですし。名前変ですし」
「・・・アサシン、何か言うたか？」
「マスターが気にするようなことは、何も」

剥き剥き・・・
「ところで、ミカンでも食うかアサシン」
「結構です。結局、何が言いたかったのですか？」
「応、そうじゃ。モグ、つまりのぅ、儂も花札ぐらい参加したかったという事じゃ」
「それだけですか」
「モグ、もちろん、お主も出たいじゃろ？」
「まあ、興味深いですね。出られるモノなら出てみたいモノです」
「じゃろ？モグモグ、そこで、じゃ」
「はい」
「モグ、とりあえず、出演した際のちぃむ名と宝具の性能を考えようではないか」
「もう出演決定みたいな言い方ですね」
「言っておけば伏線にもなるじゃろ。現に、モグ、かの菌糸類殿もそういった類の言い回しは多用しておるではないか」
「いいんですかね、そんな言い方で」
「モグ、いいんじゃよ。こうして言っておけば、必ずや日の目を浴びる日が来る・・・」
「はあ。で、マスターはどんなチーム名をお考えで？」
「もちろん考えておるぞ・・・其の名は！」
「・・・激烈にやな予感ですね」
「『イケメン爺とそのパシリ』・・・！」
ぴゅっ
「ぬおぉっ！目にっ！目にミカン汁ぅぅぅぅ！」
「ドジですねえ、マスターは」
「違ッ、お主が儂に・・・」
ぴゅぴゅっ
「ぬあぁぅっ！今度は両目！？」
「で、どんな名前をお考えで？」
「・・・さ、流石じゃアサシン・・・いつ手が動いたかわからんかったわ」

ピンポーン
「ちわぁ～ッス。コペンハーゲンでーす。ご注文の品お届けに上がりましたぁ～」
「応、やっと来たか銘酒「若白髪」！待ちわびたぞい！」
「貴方には白髪の一本もありませんがね」
「ありがとうございま～す」
「で、今考えついたんじゃが」
「また唐突ですね。今度こそまともなのを期待しています」
「『腹黒主従関係』でどうじゃ！」
「・・・腹黒」
「ごめんなさい全身から真っ黒でした」
「ですね。やはり私が考えないといけませんか・・・」
「『死にかけ二人三脚』でどうじゃ？これなら合ってるじゃろ」
「合ってるのは合ってますが、いやな響きですね」
「儂もそう思う・・・」
「はあ。『禿爺と闇Killer』でいいでしょう」
「おお。して、読みは」
「これは対話のはずなんですがね・・・『しゅうじいとあんきら』とでも」
「ふむ、感じは絶妙なマッチじゃのぅ」
「昨年の流行にしっかりと便乗させてもらいましたよ」
「おお・・・流石じゃ、アサシン・・・！素晴らしい単語センスにビックリじゃ。どちらかというとお主がてれびどらまなぞ見ておったことにビックリじゃが」
「うわ・・・絶対この人達センスないわ。つか、そっちのファンから大ブーイングだよ」
「何奴！？」
「なんじゃ、酒屋の娘か。まだおったのか、ほれ、さっさと帰れ」
「とは言われましてもね、まだお代をいただいてないんですよ」
「・・・おお。それはすまんかったの」
「はい、今度こそお邪魔さまでしたー・・・花札か、面白そうだな」
「・・・マスター。あの女性、私に気配を悟らせなかった。何者です？」
「・・・ただの酒屋の娘のはず何じゃがのぅ・・・というか、お主が正月でたるんでおるんではないのか？」
「むぅ・・・その点は、認めざるを得ませんね」

「するとやはり、花札聖杯戦争に参加し、英気を養わねばなりませんね・・・」
「応、その意気じゃアサシン。よし、ちぃむ名はさっきの『障子と餡ころ』でよかろう」
「禿爺と闇Killerです。今度は、宝具の性能ですが・・・」
「お主の今回の宝具は、空想電脳（ザバーニーヤ）じゃったか」
「そうですね・・・今回出てきた私は第三次の私でしたが、やはりそれを題材にした方がよいでしょう。説明も面倒ですし」
「いきなりぶっちゃけたのぅ」
「いいんです。これの著者はstay/nightをやっていないんですから」
「・・・まあ、よかろ。しかし、この宝具一つで花札に勝てるかの？」
「宝具の存在を端から無視してかかる人もいますが・・・やはり、これだけでは難しいでしょうね」
「やはり、儂が出すしかないのぅ」
「何かありましたっけ、マスター」
「応、たっぷりいるぞ」
「いる、という点に不安を感じますが・・・何でしょう？」
「其の名は、エロむ・・・！」
ぐりゅっ☆
「のおおうっ！目にミカンの皮！もはやミカン汁ですらない！？」
「これはあくまで全年齢向けだ、と著者が言ってます」
「くっ、わざわざ☆まで付けてその行為の残酷性を隠そうとしよって・・・この時点で最早１５禁ではないのかの？」
「以降、気をつけるように、だそうですが」
「ハイワカリマシタコンゴキヲツケマス」
「著者の機嫌を取るのも大変ですね」
「お主は著者の代行者か・・・そもそもこのゲーム自体１８禁ではないか」
「しかし、現にネット上には全年齢と１８禁で分けているサイトばかりですし」
「なんとな？お主、「てれびどらま」のみならず「いんたあねっと」までしゅうとくしておったのか？」
「あのような文化が私が生きていた頃にもあれば・・・」
「それは、世も末じゃのぅ・・・」

「やはり、彼女たちのように一つだけで行くしかないのでしょうか・・・」
「いや、絵師殿にイカした絵を描いてもらえれば増やせるかもしれんぞ？」
「ああ、その手が。ふむ・・・すると、防御・回避系の宝具が欲しいですね」
「そうじゃの・・・よし、『間桐魔法陣』で・・・」
「『力避ける暗殺者の感』（アサシン・センス）なんてどうでしょう」
「マスターの話を無理矢理さえぎるとは・・・成長してしまったのぅ、アサシン」
「現実は常に非常なモノ・・・それはそれとして、性能は「相手が勝負してきたときに発動可能。相手の一番点の高い役を無効」といったところですかね。で、必要MPは７」
「おお、本格的じゃのぅ」
「で、空想電脳ですか・・・」
「脳を丸ごと火薬に変える、か。ふむ・・・」
「ああ、あまりゲームバランスを崩すのもいけませ」
「使ったら相手のアイコンが消える！」
「・・・あまりにもいらない宝具になりますね、それは」
「うむ。儂も言って後悔したわ」
「ふむ。「相手の出来かけの役若しくはできた役からランダムで選び、それに関わる札を全て破壊」なんてどうでしょうか。コストは８で」
「少し強すぎないかの。「ランダムで選び、その役を無効化」なら、偽の暗殺者の使っていた能力と似ておるし、在っても問題なさそうじゃ」
「おお、それならいいですね」
「あとは初期MPと最大MPじゃの」
「赤い方の弓兵を参考にコストを考えたのですし、彼と同じ０／１５が妥当ですね」
「面倒になってきたし、それでいいじゃろ」
「貴方が始めた企画なんですがね・・・」
「よし、これで決まったの。ちぃむ名「禿爺と闇Killer」宝具「空想電脳（ザバーニーヤ）」「力避ける暗殺者の感（アサシン・センス）」。おお・・・」
「これだけ揃えれば、我らももしかすると・・・」
「おお、追加ぱっちさえあれば・・・」
「ああ、それこそが我らの「全て遠き理想郷（アヴァロン）」ですね」
「真二をおいて、我ら二人で出演・・・ぐふふ」
「ふっふっふ」
「ぐふふふふふふ・・・」
「ふっふっふっふっふっふ・・・」

「おお、気持ち悪い笑い声を響かせて話がまとまったねぇ」
「そうですなぁ」
「零観君は花札できるんか？」
「おお、できますぞ。なんせうちの爺と雷画翁が会う度にやっとりましたからな」
「ほへー、藤村の爺さんか・・・そう、それだそれ」
「それ、というと？」
「藤村だよ藤村。あいつが出てるのに私たちが出れないわけがない！」
「・・・しかしネコ君、我らには彼らの言うような宝具とやらがない」
「でも、宝具なしでも出てるバカなワカメ君もいるよ？」
「間桐真二殿ですか・・・まあ、あの程度の役回りならば我らにも」
「・・・あー・・・やっぱダメだぁ」
「ほほう、そもさん、それは何故」
「説破、あんな色がついた程度で喜ぶようなキャラにゃぁ成り下がりたくないね」
「はっはっは、同感だね。しかしネコ君の毒舌も、板に付いてきたね」
「あはは、零観君のツッコミも厳しくなったもん」
「はっはっはっはっ・・・」
「あははははははは・・・」

かくして、冬木市某所（こたつ）内外で、笑い声が響き渡り。
「ハックション！ズズ・・・ちっ誰か噂してんな・・・畜生、衛宮め！」
海辺のワカメは、お門違いな怒りを湧き上がらせるのであった・・・