その気高い誓いを、誰が知ろう。 　―――――救うと決めた。 何があろうと、たとえ、その先に、 　―――――それでも、救うと決めたのだ。 避けえない、虚無への回帰が待っているとしても。 【後日談。異聞】 前へ。ただひたすらに前へ。眩しさに導かれるように。 そして気付くと、この場所に立っていた。 魂に焼き付いた風景。山の頂から見渡す荒野には動くものは無く。山頂にはただ、建物の基礎の痕跡だけが残っている。 果てしなく憎み、果てしなく焦がれた世界。 山頂から見下ろす岩場。 そこに小さな白い花が咲いていた。 いや、白い花の形をした“何か”。 俺には、その正体がわかった。 小さな花には、一つの閉じた世界が内包されている。 可能性の欠片で編まれた閉じた世界。 安らかな旋律を繰り返すだけの自鳴琴(ｵﾙｺﾞｰﾙ)。 求め続けながらも手放した、万華鏡(ｶﾚｲﾄﾞｽｺｰﾌﾟ)の様な日々―――。 初めて、自分の足で山頂から降りて行く。 岩陰にひっそりと咲く小さな白い花。 （演出が過ぎるぜ） 御都合主義のカタマリ。誰もが求める不実の楽園。 　―――しかし俺は、 暖かく、停滞した、ニセモノ。 　　　　それを否定しない――― 俺はそっとその花に手を伸ばし――― ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― バゼット、カレン来襲による衛宮家の混乱は、藤村大河の帰還によって頂点に達した。 バゼットは、騒ぎを巧みに受け流しながら、誰に付くのが有利か思案している。 ふと、左腕が痙攣した。こらえきれぬ笑いを漏らすような仕草。 バゼットは苦笑して、ごつんと左腕を叩く。 小春日和の空の下。 衛宮邸は今日も近所迷惑であった。

by 藤村狼牙

正直な話、セイバーやキャスターの思いを台無しにしかねない『後日談。』世界なのですが、
やはり幸せってのは捨て難い。
何よりも誰よりも、アヴェンジャーの為に。

いいじゃん、贋物でも。アヴェンジャーを休ませてやろうよ。
って事で。

ちなみに彼のたどり着いた場所（一応フェイク）と
『白い花』を作ったのは、
やはり馬鹿弟子の後始末をしている師匠でしょう。

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