everyday
「ん、ご馳走様」 「お粗末さま。お茶、いるか?」 「ありがと。さすがね、和食で固められると脱帽よ」 「そうかぁ? どっかの陰険サーヴァントにはケチばっかつけられたぞ」 「フフッ、まぁまぁ。進歩の余地があるってことで。がんばって」 「……見てろ。いつかぎゃふんとかほぇーとか言わせてやる」 「ほぇー?」 昼休みはあと半分以上。今日は日差しも暖かで、屋上は快適だ。 桜は、部活の打ち合わせで欠席。お弁当はいつもの3分のい……こほん。 満腹感と快適感で、心地よくまどろむ。 会話がとまる。ひと時の休息を楽しむ。 「…んー、なんか、さー」 「? なに?」 「こういうのも、いいね」 リラックスした表情。…そうか、これは、逆に珍しいのかもしれない。 何かを相談したり、師と弟子としてだったりが、ふたりきりの通常だ。 何にもなくて、ただ、時間の経過を感じ合う、なんて。 ……つくづく思う。 普通が稀有に思えるなんて、魔術師は、因業な身分だなぁ、と。 「どうしたの? 苦笑いしてるけど」 「いや、何でも。…ふぅ、ちょっと眠くなってきた」 「あら、余裕ね。身も心も贅肉つける気?」 「たまにはいーんじゃないか。たまには」 「ん、そうね。たまには、ね」 たまには、か。言っててまた、苦笑いが浮かぶけど。 そういう生き方を選んだし、選択に後悔はなく、嫌悪もない。 好きで苦労を買ってる、なんて、藤ねえ辺りに言われるけど。 だからこそ、日常の大切さを感じ取る。 「さぼっちゃおうか?」 「…午後はずっとお昼ねで? 贅沢すぎるなぁ」 「フフフッ、そうね。逆に体に悪そう」 「だな。お互い、損な性分みたいだ」 「あら、衛宮くんにそんなこと言われるなんて、侵害だわ」 「…そっくりそのまま返していいか?」 * ふいに、思うこともある。 今、彼女と、こんな時間を共有できる。 それは、あの日々からの、できすぎた報酬なのだと。 [了]
by 能登耕平
何かある事が作品ならば。 何もない日が、二次創作の領域じゃないのか、なんて。 まぁ、そんなとこです。今回のコンセプト。 さて、それではおいとまを。 私は私の日常へと戻ります。それではー。
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