そういえば
――ガタンッゴトン、ガタンッゴトン! ポッポーッ!!―― どこからともなく聞こえる甲高い音と体を揺らす振動に目を覚ました。 「起きたのね。士郎」 聞き覚えのある声に、まだ重い目蓋を持ち上げた。 「ああ、おはよう。イリヤ」 見ると、白い少女が向かいの座席に腰掛けていた。 「ええ、おはよう。士郎。もうすぐ火星に到着するわ」 「そうなのか。もう火星に着くのか。火星……」 イリヤの火星という言葉にものすごい違和感を覚えた。 その途端、寝ぼけて認識していなかった窓の外の景色に気づいた。 「な、え、はい、宇宙―――!!」 外は一面の銀河だった。 それと同時に、自分が居る場所の違和感にも気づいた。 「イ、イリヤ、ここはどこだ!?」 「どうしたの士郎。私たちは今、銀河鉄道999に乗って火星に向っているとこよ」 その言葉に、ほぼすべての疑問が解決された。 それでも、現状を認めたくなくて、一縷の望みに賭けて聞いてみる。 「そうか……もしかしなくても、目的地は機械の体をもらえる星なのか」 「おかしな士郎ね。それが貴方の目的でしょう」 初めて会った時のような格好をしたイリヤの言葉は、有罪判決に等しかった。 「ああ、そうだよな…………」 すべてを諦め、受け入れる気持ちになった。 なぜなら、ここに至る原因を思い出したからだ。 それは…… 「またなのか、遠坂……」 ばつの悪そうな顔をした遠坂が頭の中に浮かんで消えた。 「あと5分で最初の停車駅火星ステーションの大シルチス駅に到着します」 車掌の言葉を聞きながらも、頭の中では別の声が流れていた。 ――体は機械で出来ている。血潮は鉄で 体は硝子。……その体は、きっと機械で出来ていた。―― 機関車は星々の海を渡り、火星を目指す。 元の世界に戻れるのはいつの日か。 衛宮士郎の苦難の旅は始まったばかりだ。
by ぜっき
微妙な類似に思わず書いてしまいました。
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