hollow最終日たる11日。俺はアインツベルンの城へと出向いた。 理由は今でも解らない。ただ、魂の命じるままに体が動いた。そうとしか思えない。 適当にイリヤと会話を済ませ、時刻は夜。イリヤの熱烈な要望もあり、城に泊まる事にした。 …寝付けない。寒さの所為もあるが、何か、不思議な予感があった。 むくり、と寒さに悴んだ体を起こし、城の外に出る。そのまま、ふらふらと歩く。 森の中には何の気配も無い。何の気配も。 そう、城を、イリヤを守っているはずのあの英霊の気配すら。 辿り着いた場所は、見覚えの在る廃墟だった。かつて、今にも消えんとするセイバーを救うためにその体を重ねた場所。思い出すと今でも赤面する。 そんな思い出の場所。だが、確か今は…！？ 「こんばんは！よろしくね！まったく夜更かしさんだなキミは！」 …そうだ、彼女が居たんだった…（汗） クイズ鬼（と名乗る誰かのそっくりさん）の登場。そしてなし崩しに始まるクイズバトル！！！全問正解すれば嬉し恥かし温泉ＧＥＴだ！！ 「『Fate』のヒロインは藤村大河である。」「当然。大河ルートのエンディングこそトゥルー。」 すぱこーーん！！不正解！！ 「『Fate』には第四の隠しルート『藤ねえドキドキハニー授業7時間目』が存在する。」「七時間目といわず、全時間そうである。」 すぱこーーん！！不正解！！ 「『Fate』第一回人気投票ぶっちぎりの一位は藤村大河である。」「そうそう。書き下ろしイラストは今でも冬木美術館に飾られている。」 すぱこーーん！！不正解！！ 「このファンディスクのヒロインは藤村大河である。」「それ以外考えられないでしょう。」 すぱこーーん！！不正解！！ 「時代は藤村大河である。」「当然だ。疑いようがない。」 すぱこーーん！！不正解！！ 「ぐわー！？」 木の葉のように吹っ飛ぶ俺。 な、なぜだッ！？脊椎反射で答えた回答が全て不正解だと！？ おかしい、俺は確かにそんな場面を見てきたハズなのにッ！？ なんか後ろから全部テメーの妄想だろうがッ！！とか聞こえるけど無視だ！！ 「く…こ、この未熟者めっ！うう、そんな嘘をですね、このわたしが見逃すと思っているのですかっ…！ あま、あまく見ないでほしい、うう、そんなおべんちゃらにほだ、ほだされるわたしじゃないやいっ…！！」 「そちらこそ甘く見るなッ！！俺がおべんちゃらなど言うと思ったかッ！！」 俺は一喝した。 「へっ？」 なんかヘコみつつ涙を堪えていたクイズ鬼が俺を振り返る。 「俺は間違いなく見て来た。藤ねえがヒロインだったのも、隠しルートがあったのも、人気投票一位も、ファンディスクヒロインゲットも、時代が藤村大河を呼んでいるのもだッ！！」 だからそれは妄そブゲらッ！？後ろにケリをかましつつ言い切る俺。あ、なんかいい角度でグッドな感触が。後ろの声もこれで消えた。 呆然としていたクイズ鬼は、しばらく俺の言うことが理解できなかったらしい。 が、やがて理解とともに喜びが顔に溢れて来る。 「ホ、ホントに！？ホントにわたしのルートあったのっ！？」 あ、やっぱクイズ鬼って藤ねえだったんだね。 「もちろんさ、藤ねえ。さあ、今からでも遅くない。俺が全てを再現してあげるよ。」 「ああ、神様、虎様、お月様！！ありがとう！わたしにも専用のシナリオあったんですねっ！？」 そして、俺たちは存分に藤ねえルートを楽しんだ。 何気ない日常の会話。出会ったころの思い出話。デートイベント。現れるライバル。 …そしていよいよ、嬉し恥かし深夜のイベントへと…。 ……………………。 ちゅんちゅんちゅん …あれ？雀の鳴き声？ ふと気が付いてあたりを見回すと、いつもの自分の部屋である。 普段着のまま机に突っ伏していたらしく、体のあちこちが痛い。 目の前にはクイズが終わり、がっくりとしたクイズ鬼の姿が見えるモニター…。 「………って、夢オチかよーーーーーーーーーーーッ！！！」 俺の魂の叫びが、隣近所にこだましましたとさ。 ちゃんちゃん。

by さいきつかさ

藤ねえ応援SS第二弾です
…応援なってんのかなぁ？コレ
モノ書き禁断の必殺（というか反則）奥義「夢オチ」だったわけですが、ちゃんとタイトルで「夢の」って付けてるし大丈夫ですよね！？
ちなみに、脊髄反射での回答の部分だけは、俺自身の蝶☆実話（汗）

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