"この醜くも美しいかどうか解らない世界" by レク

「起きろ、小僧！」
「うぉぉ！！？」
　突如たたき起こされた。辺りを見回す。
「ここは・・・、」　
　見覚えがあった。殺風景な荒野。虚ろな空。無限に広がる空間。そして無数に生えているステッキ。たぶん５００本くらい。
「ってステッキ？」
　もう一度見る。あぁ、紛れもなくステッキだ。無駄にぴかぴか光っている。どれくらいかというと見ている俺がムカツク程に、だ。
「どうだ小僧、この世界は？」
　声の主を見上げる。嗚呼なんか誇らしげに立っている白い髪、黒い体。
　紛れもなくアーチャーだ。こんにちわ未来の俺。むしろ今は昼か？
「ってか何だココ。」
　状況が把握出来ないので訪ねてみると、何と何と、驚く答えが返ってきたのだった！！（まぁ、何であっても驚くしかないしな。）
「ふふふ・・・、よくぞ聞いてくれました！これぞ、無限の涸れ井戸・・・、ゲフン！アンリミテッド・カレイド・ワークスだ！！」
　ア、アンリミテッド・カレイド・ワークス？何だそれ。俺が困った顔をしていると全体的に赤い人がさらに語る。
「そう、少し疑問に思ったのだよ。カレイドステッキは第二魔法の産物であろう？しかし武器には変わりない訳だ。ならば、それを投影できぬものかとな！するとどうだ！」
　どうなったんだ、未来の俺。
「出来たのさ！カレイドステッキがなぁ！そして俺は・・・、」
「俺は？」
「・・・・・・・・・・・、」
「どうなったんだよ。」
「・・・・・・この世界に閉じこめられました。（泣）」
間。
「閉じこめられました（泣）じゃねぇぇぇぇぇ！！どうすんだ、コレ！」
「まぁ、正確には我々なのだがな☆」
「いや、解ってるよ！☆じゃねぇよ！あぁもう、ツッコミしてる自分にも腹立つわ！」
　襟元を掴みたいが何分タッパが無いので掴めない。悲しい、悲しいぞ俺の体！！
「何でこんな事になってるんだ？」
　とりあえず状況が状況なだけにもめている場合では無い。コイツを怒るのは無事田出してからだ。
「フム、よろしい。では説明しよう。まず、私はカレイドステッキを投影しようとした。」
　偉そうに語るなよ。もとはと言えばお前が原因なんだからさ。
「ステッキの投影は成功した。そして私はステッキの力を試そうとした。そこで、衛宮邸に進入し、発動させるための主、もとい生贄を探した。」
　人の家に勝手に上がり込むなよ。いや、俺だから良いのか。それにしても主から生贄と、わざわざ言い直さなくても良いのに。何と言う馬鹿正直なんだ未来の俺。
　スパスパッと言うところが凄いな。聞き手が遠坂だったら一発昇天モノだぞ。
「ステッキ自体には女性限定という条件は残っていなかったため、誰でも良かった訳だ。そこで私はお前に決めた！！」
　熱弁している。なるほど、俺に決めたのか。・・ん？え、俺！？コイツ今俺に決めたって言ったか？え、何で？
　するとコイツは俺の疑問に答えるかの様に、
「何故お前にしたか。それは、お前が憎かったからだぁ！！」
　という答えをしてくれた。答えるかのようにではなく簡潔に答えやがった。
「でも、何でこんな事に・・・。」
　何となく赤い俺が答える。
「私はお前にステッキを握らせ（お前の）血を与えた。すると、お前はとてもビックリなことを言い出した！！」
　頬に冷や汗が垂れている。何だ何だ、
　え？俺何の夢見てたっけ・・・？確か化け物がいっぱい出てきて、だから・・・、
「『アンリミテッドブレイドワークス』と。」
　・・・こ、こんな状況にしたのは、俺かーーーーーーーーーー！！！！
「何を間違ったか無限の剣製をしたお前は、私と共にこの空間に閉じこめられていた。そして、何故か大量のステッキが刺さっていた。恐らくステッキの魔力だかが変に作用して、こうなったのだろう。」
「・・・も、もとの世界に戻る方法は？」
「それが、一つだけある。」
「え、あんの？」
　あるのか。普通無いんじゃないのか、こういうのって。
「あぁ、ＳＳにしては文字も多めになってきたことだしな。」
「何の話だ？」
「こちらの話よ。まぁいい、もとの世界に戻る方法、それは二人の無限の剣製の魔力でこの空間を消し去る事だ！」
　ずいぶんと簡単な話だなそれ。ま、良いか。
「そうと決まれば、行くぜアーチャー、魔力の貯蔵は充分か！！」
「フン、知った口を。私の魔力についてこれるか！？」
「てめぇがついてきやがれ！！！！」
　意味の解らない事を言い合い魔力をためる。こういうのはテンションが大事なのだテンションが。
『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっ！！！！！！！！！！！！！』
　カッ！
　ギュイン！
　ジュバーーーーーーーーーー！！！
『アンリミテッド・ブレイド・ワークス！！！』
　ピッカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンン！！！！！！
　閃光が包む。
　この光はサ●ライト・イ●ローの綺麗な光っっっ！！！（解る人だけ解って下さい。）
　版権的にもぎりぎりな感じで、俺たちはもとの世界へと・・・、

目覚めるとそこは、
　カレイドステッキが１５００本くらい。
「って、増えてるーーーーーーー！！おいアーチャー、説明しろ！」
「フ、冷静に考えれば二人の無限の剣製をプラスするのだから当然と言えば当然か☆」
　その目には涙。でも泣くに泣けん。ってかシャレにならねぇよ、コレ。むしろまたコイツは☆をつけやがった。
『誰か、誰か助けてくれーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー！！！』
　遠く遠く、少年達の咆吼は続く。それは誰の耳にも届くことはない・・・。
　ちなみにその後その空間にアンリマユが落ちてくるのはまた別のお話。