(時間軸：教会から出てきて交差点のとこまで歩いてきたとこ) 「お話はおしまい？」 「「！！」」 突如聞こえた声に、俺たちは警戒態勢をとる。 どこかに隠れているのかと思ったが、相手は意外にも道のど真ん中に立っていた。 「こんばんわ、お二人さん。私の名前はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。よろしくね。」 彼女はお姫様のようにスカートの裾をつまみ挨拶をした後、無邪気に微笑んだ。 「――――アインツベルンですって？」 遠坂は、驚きと戸惑いの視線を彼女に向けている。 「そう、アインツベルン。驚いた？遠坂の後継者さん？」 遠坂のことを知ってるこの娘、何者なんだ…？ 「マズイわね…。衛宮君、ここは逃げた方がいいわ。」 「え？」 そんなことを言ってもアインツベルンなんて名前、俺には聞き覚えが―――――無いはず。 第一、女の子相手に逃げるなんて一体どういう――――――――――― 「…！？」 そこで気づいた。今ついさっきまではセイバーの魔力を感じていた。しかし今は…全然違う。 未熟な俺でもわかるぐらい黒く、重い魔力がセイバーの魔力を圧倒していた。 これはまさか――――― 「それじゃ、さようならお二人さん。―――――――――やっちゃえ、バーサーカー」 「――――――！！」 一瞬、何の音なのかわからなかった。 それが、サーヴァントの雄叫びなのだと理解し、後ろを振り向いたとき。 既に目の前には黒い死の一撃が振り下ろされていた――――――――――。 <オープニングはさみます（ぇ> 死んだと思ったその一撃は、銀の旋風によって弾かれていた。 「マスター、下がって！」 黒と銀が交錯する。不思議なことに、あんなに小柄なセイバーが巨人のような体つきのサーヴァント―――――バーサーカーって呼ばれたっけ―――――に力負けしていない。 １発１発が死につながるその一撃を確実に防ぎ、ここから先へは１歩たりとも進ませまいと奮戦する。 よし、これならいけるかもしれない！――――――――――そう思った時、銀の破片がほほを掠めた。 そして、後方へ流れる金髪。―――――――彼女は、バーサーカーに吹き飛ばされていた。 「セイバー！！」 あまりにも突然だったので、頭よりも先に体が反応してセイバーの元へ向かおうとする。だが――― 「駄目よ！今背を向けたら確実に仕留められる…！」 遠坂が俺の腕を掴み、セイバーの元へ行かせまいとする。 「何言ってるんだ、あのままじゃセイバーが―――」 ドンッという豪快な音が聞こえた。目の前に大きな壁が見える。否、これは壁ではない。 バーサーカーの石斧だ。そう気づいたとき、俺の体は大きく吹き飛ばされていた。 「がはっ…！」 直撃していないはずなのに、俺の肉体はもう限界だった。 呼吸がうまくできない。全身がずきずきと痛む。 「ギ――あ―――ぁ―」 遠坂は無事なのか。セイバーは無事なのか。目かすんで何も見えない。 そのまま意識が落ちていくさなかで感じたのは 混沌・黒・狂の前に、中立・中庸の赤が立ちふさがったことだけだった――――――― <Interlude> とっさに避けた一撃は、私の両腕をしびれさせていた。衛宮君は―――――何とか無事なようだ。まぁ死んでないだけよしとしよう。 しかし、まずい状況だ。セイバーは倒れ、アーチャーは家で傷の治療中、衛宮君は気絶してしまった（元々役には立たないが）、私の宝石は家に置いてきた。 「このままじゃ殺されるだけ、って事ね。なら――――――」 せいぜいやってやりましょう、と右腕に力を込める。そして、 「セット」“Anfang” 「令呪に命じる」“Vertrag 右腕の令呪に熱が走る。 「聖杯の規律に従い…」“Ein neuer Nagel…” 「我が従者をこの場へ呼び寄せたまえ！」“Jener Person hire refer!” 私の家の方角から赤い光が高速で飛来する。そして、その赤光は私の隣へ墜落した。 「まったく、君は人使いが荒いな。まだ完全に回復したわけではないというに…。」 その言葉に少しムカっとくる。こいつは…！ 「しょうがないでしょう。このままむざむざ殺されるぐらいなら最初から聖杯戦争なんて参加してないわ。」 「確かに。この程度で死なれるマスターなど私も必要とはしていないのでな。」 皮肉に皮肉で返しやがって…。この借り後で返してやる…。 「とにかく。少しでいいからスキを作って頂戴。さっさと離脱するわ。」 「了解した。時間は…そうだな、３０秒だ。その間に離脱しろ。」 そう言うとアーチャーはいつの間にか持っていた黒白の双剣を手に、巨人へと歩いていった。 まったく、人に命令してくれちゃって…。サーヴァントあるまじきヤツね…。 とりあえずあの二人を運んで逃げないと。時間は無駄には出来ない。 「軽量」“Es ist gros” 体を軽くして一足飛びで衛宮君の所へ向かう。 「まったく、世話が焼けるわね、アンタって奴は！これで貸し二つ目よ…！」 そう文句をいいながら彼を抱え上げる。よし、次はセイバーのとこだ。 セイバーのところへ行くと、彼女は既に気がついていた。 「逃げるわよ。いける？」 時間がないので手短に聞くと、 「大丈夫です。逃走だけならなんとか。」 そう苦々しい表情でセイバーは答えた。 よし、後は――――――――― 「アーチャー！目くらまし！」 そう言うと同時に巨人から大きく引き下がった弓兵は、その大きな城の足元へ螺旋の剣を射出した。 「イリ――――ヤ――――」 衛宮君が何かつぶやいた気がしたがよく聞こえなかった。 第一、気にしている暇なんてない。衛宮君を背負ったまま一気に坂を駆け上がる。 自宅に到着し、即座に結界を発動させる。ここならあの二人が相手でも負けることはないだろう。 しかし、追ってくる姿は見えなかった。いつでも殺せる、ということなのだろうか。 「リン、もう大丈夫なようです。追手の気配もない。」 セイバーの傷は既に癒えていた。自己治癒能力があるらしい。 「セイバーが消えないって事は、衛宮君も命に別状は無いみたいね。…まぁ骨の何本かは折れてるけど。」 そう言って彼をソファに連れて行く。ソファに寝かせると驚いたことに彼の傷も癒えていた。これは一体… 「セイバーの自然治癒能力が衛宮君に流れてるのかしら…。いや、でもそんなこと普通はありえるわけないし…いや、でも普通の契約じゃない衛宮君ならありえるかも…」 と考えていると 「リン、マスターを眺めて何をぶつぶつ言っているのですか？」 「あ」 そうだった。とりあえず衛宮君を治療しないと。って言っても大して治療が必要なわけではないんだけど。とりあえず小さなかすり傷やらを治療した。 <Interlude out>

by Nightmare

これだいぶ昔にノートに書いたSSなんですよー。
ってか中途半端な終わり方だな、おい…。
友人とリレー形式で書いてたんですが、やっぱり本物のライターさんはすごいと思いますね。
自分で書いてると、「あー、ここの説明が微妙だなー」とか「こんな文章で状況が想像できるかっての！」とか考えたり。
自然にその状況が想像できるような文章が書いてみたいなぁ、とかいろいろ願望があります、が。
とりあえずイリヤ頑張れ（脈絡ねぇな


ちなみにドイツ語とか色々てきとーですので（何
…しっかしこれイリヤ支援になってないっぽいぞ…。

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