べたべたさん
今日も授業を終え、クラスメートが急いで塾に向かおうと急いでいる中、自分も帰宅しようと靴を履き替え外に出ると、 「おっ、遠坂! 今帰り?」 と、親しみのこもった声が耳に入る。足を止め、振り返ると、後ろから唯一の遊び友達といっていい美綴綾子が歩いてくる。 “そういえば薪寺さんもそうだっけ”などと思いながら、 「あら、今日は早いのね」 と、悪態をついてはみる。が、 「あたしはあんたと違って、進路がまだ決まってないからね。やることがたくさんあるのさ」 なんて笑いながら軽く返され、横に並び歩を進める。どうやら彼女もいろいろ忙しいらしい。 新都に新しくできた洋菓子店の批評や、弓道部で最近起こったことなど、たわいもない話をしながら、校門を出て坂を下り、半ばほどまで来たところで、彼女は急になにやら思いついた様子で 「そういえば前から思ってたんだけど、」 「なに?」 「遠坂って、衛宮のどこが好きなの?」 などという突拍子もない質問。 「……えっ?」 「あんたら、つきあってるんだろう?」 ついつい長考してしまう。綾子が微笑を浮かべながらこちらを見ている。 “急に士郎のどこがいいかって言われても…… いかん、一刻も早く切り返して、うまく話をそらさなければ、綾子に足元をすくわれてしまう! でも、そういえば私は彼のどこが好きなのだろう。” と、この繰り返し。 どうにか返事をしようと、あせる自分を抑え、思考をめぐらせまくる。 「……なんだよ、のろけか? みっともない顔だね」 と、突然あきれたような彼女の声。 もう冬も近い。 日に日に早く沈む夕日に照らされながら、そう言われてはじめて自分の顔が知らずににやけていることに気づいた。 どうやら私は、士郎のことを考えるとうれしくなるようだ。
by 根暗笑点
ありがちなネタですが、凛の応援SSっす。 やはり文章を書くのは難しいです。 読んでいただいた人が不快にならないことを祈るのみです。
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