"KING OF ROAD or HUMAN OF ROAD" by pelsona

王は草原にたたずみ、考えていた

どこで道を誤ったのかと…

自国に侵入してくる敵を薙ぎ払い、逆に敵の領土を削り、いつしか自分の国の都は何人もの優れた騎士がいて、人々の笑いで満ち溢れたカメロットと呼ばれる理想郷となった。

しかし、それも遠い昔の話である

いつだったか、自分が王になるべき人間ではなかったのではと思ってしまった。

その不安は日ごとに大きくなり、彼の王も日々悩まされ続けることとなった、そんな日々の中で、彼は聖杯の伝説を聞く

『聖杯はどんな願いでも叶える』

彼の王はそれを聞いて悩みから開放された、

『本当の王を選びなおすことができる』

そして彼は、部下の騎士たちに聖杯を探すことを命じ、さらには世界と契約し聖杯と引き換えに死後も、人々のために尽くすことを誓った。

「…その果てに行き着いたのがこの結末か……」

彼は長い溜め息を吐いた。

聖杯は結局、彼の手に届くことは無かった、ほとんどの騎士は聖杯に辿り着けず、たったひとり聖杯にたどりついた者は聖杯に魅せられ文字通り天に昇った。そして、都にいた騎士たちは次々と王の前から姿を消していった。さらには、最も信頼を寄せていた騎士を追い回すこととなり、遂には海を渡りこの草原へと辿り着いた。

「騎士王…部隊の準備が整いました…」

いつの間にか、彼の後ろに騎士が頭を垂れて指示を仰いでいた。

「そうか…帰ろう…我が都へ……これが最後の戦いとなろう…」

王は理解していた、これが自分の最後であることを…

『どこで道を間違ったかはわからない、その答えを見つけようとも、今は思わない…ただ…』

「なぁ…お前はわたしがどこで間違ったかわかるか？」

「えっ…！！！？」

王の傍らにいた騎士は一瞬首を傾げ

「王は、道を間違えたことはありません、ただその道が、王としての道でありすぎただけです………」

そして、騎士はためらうように言葉を続けた

「…王は、聖杯を使い過去に戻り、王の選定をやり直そうとしたと聞きます…それは、自分が王の道を歩きすぎた為、人としての道を歩みたかったからなのではないでしょうか？…」

「！！」

『人としての道か…』

王は小さく笑った

「お主…名はなんと申す？」

「…ベディベールと申します」

「そうか…ベディベール、お主は戦いとなったら私の背を守れ…」

「はっ！！王の仰せのままに…」

そして、王は部隊に指示を出しに向かおうとして、忘れたことがあるように、騎士に振り返り、

「………私が名前を聞いたのに、私が名乗らないのは無礼だったな………私の名は………」

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『………セイバー？？』

そこでふと誰かに呼ばれている気がして、私はゆっくりと目を開ける

「お～い、セイバー暖かいからって縁側で昼寝してたら風邪ひくぞ？」

「…ベディベール？」

「へ？」

さっきの夢で見たのと同じ顔が目の前にあったため、私はつい夢で言われた名前を口走ってしまった。

「な、なんでもありません…ちょっと寝ぼけているだけです…眠気覚ましに顔を洗ってきます…」

「それだったら、ついでに離れにいる遠坂に声掛けて来てくれないか、この間柳洞寺行ったときにもらった和菓子が残ってるんで、お茶にしようって」

「ほんとうですか、シロウ！？」

今の言葉で一気に眠気が飛んでいった

「ああ、そんなことで嘘ついても仕方ないと思うんだけど…」

「了解しました」

ダッと廊下を強く蹴り、ふとさっき夢で見た騎士に向かって心の中で言ってみた

『ベディベール、どうやらこれが人としての私の道らしい…』