Fate/世界名作道場
アインツベルン童話集より〜3人のシンデレラ 作と語り:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 昔々、冬木国というタイガ女王が統治するなかなか愉快で内戦が絶えない「世界の火薬庫」と呼ばれる国がありました。王様は、数年前に暗殺されてもうこの世に居ません(泣) このままだと王家がヤバイしなぁ。クーデターとか起きたら面倒だしなぁ・・・。 と、THE ワ〇ド(丁度、証人喚問の中継していた)を見ながら考えていました。 そして、閃きました「そうだ!舞踏会を開いて王子のお妃を適当に見繕ってしまへ!」 王子を王に仕立て上げればあら不思議!スケープゴートの完成です! そして影からこの国を操り裏から支配すれば、かいらいせいじの出来上がりです。 その憐れな生贄の山羊の名はご存知「衛宮士郎」可哀相に。人の不幸は蜜の味なのよね。 で、兎に角―――――今夜!舞踏会という名の血の晩餐の幕が切って落とされるのです! ――スペースが無いから色々ちゅうりゃく と、いうわけで遠坂シンデレラにカレンと名乗る魔法使いがやって来てこう告げました。 「必要なモノは全てこちらで用意、負担します。が、後で報告書を提出して頂きます」 「せいぜい、王子を手中に納めてください先輩」 と、言って真紅のドレスと二頭の犬に引かれた馬車ならぬ犬ぞりを召還しました・・・・。 ・・・・・・二頭の犬が恨みがましい目付きでリンやカレンを見詰めています・・・。 「・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・」 「・・・色々と突っ込みたいところだけど、可哀相だからやめとくわ。じゃ、行って来る」 可哀相と言いながらも容赦無く鞭を入れてあかいあくまが闇の中駆け抜けて行きました。 「じゃ、セイバーシンデレラ頑張ってね!シロウを射止めるのよ」 「ありがとう、イリヤスフィール。私は貴方の事を誤解していたようです」 封印の解かれた聖剣を天に掲げ、色々とヤル気満々な彼女は魔法使い(私ね)に告げた。 「この剣に誓う!数多の敵を屠り必ずや勝利を勝ち取ろう!」 紺碧のドレスを身に纏ったセイバーは颯爽とブレーキの壊れたダンプカーもとい、バーサーカーを見事に乗りこなし夜の闇を騒音を撒き散らし暴走して行きました。 「ねえ、ライダー。このドレス変じゃないかな?ちょっと大胆すぎないかな?」 桃桜色の胸元が大胆にカットされたドレスを恥らいながら見つめる桜シンデレラは、天馬を従えている魔法使いライダーに聞きました。 「ええ、とても良く似合っている。サクラを見て慌てる士郎が目に浮かぶ」 と、その姿を微笑ましく思いながらライダーは言いました。 「ふふ、先輩喜んでくれるかな?――ん!よし、じゃ行こうライダー!」 ライダーは頷き夜の空へ天馬を、シロウの待つ城へと疾走らせて行くのでした。 宮廷楽団の奏でる調べに乗せ着飾った紳士淑女達が優雅にダンスを踊る大ホール。 そこへ既に出来上がっているタイガと、体の自由を奪われ猿ぐつわをかまされ椅子に括り つけられたこの国の王子様(シロウの事ね)が、ステージ中央に鎮座していました。 その姿はどう見ても王子様と言うよりは、死刑の執行を待つ咎人。グリーンマイルを歩く 死刑囚。いえ、生贄の姿そのものでした。・・・・・・シロウも大変よね。 「―――――――!―――!!」 必死に足掻く士郎を横目にタイガは王家の第一級礼装(要は只の剣道着なんだけどね)と何やらダークなフォースに身を包み不吉な音楽と共にステージ中央へ立ち宣言する。 『数多の分岐選択を潜り抜け、数多のエンディングを体験し達成率100%に至っても諦める事無く遂には此処に辿り着いた精鋭達よっ!汝らはとうとう見付けたのだ!』 ――静かに会場を見回しそして、腰に下げてある伝説の騎士「ニジュウダイ」の証。 宝具:虎竹刀を抜き放ち天に掲げ言葉を紡いだ。 『―そう!夢の入り口!最後の幻想!約束の理想郷!「藤ねえルート」に入ったのだ!』 カッ!という効果音と共にタイガの背後に稲妻が轟いた。 ワアアアアアアアアアアアアアアッ!という大歓声。 『そして今!罠とも知らずにノコノコと心躍らせて向かってきているお馬鹿なメインヒロイン3人を此処で始末してしまえばこのルートは確定的なものになるであろーうっ!』 再びカッ!という効果音と共にタイガの背後に稲妻がほとばしった。 ガンホー!ガンホー!と何やらよく分からない相槌が続きます。 ノリノリなタイガは更に続けます。 『もぉ一つの選択ミスも許されない!ノーマーシィな!常に急所を鷲掴みされている様な緊張感!他のルートを選ぼうものなら即BADDEADEND!OPからやり直し!』 もう誰もタイガを止められません。 『フラグは全て「藤ねえルート」に改竄され!集めたCGも全て私のCGにスリ変わり!OPムービーからEDLIST!更にはエンドロール迄全て大河一色にぃ!』 凄まじい爆発音と怒号!そして、背後には虎のドアップが現れたのでした。 そのステージアピールはジムモリソンか?ロバートプラントか?ジミヘンドリックスか?(皆知ってる?昔のロックスターの事よ)という程見事なものでした。 タイガ!タイガ!タイガ!というタイガコールに会場は埋め尽くされ、そして、その夢の実現に咽び泣く精鋭達(不遇な扱いを受けてきたキャラの事かしら)も居ました。 まぁ、兎に角そういった訳で会場は、タイガを中心に今までに無いボルテージと一体感に包まれていました。 シロウは蚊帳の外です。すっかりやさぐれてしまい何でもいいから早く終わって欲しい。と、願うだけでした。(一山幾らの主人公ってこんなものなのかしら?シロウ可哀相) そんなシロウをよそに会場は、合コンの如く盛り上がりこれから更にヒートアップする様相を呈していました。――タイガがカラオケ機のリモコン片手に、 「ちょっと!まず私が先に歌うんだから貴方は待ちなさいよぅ!」 など、本来の目的を覚えているのかどうかちょっと心配になってきたその時――! 大ホールのメイン出入り口から突然、対戦車ミサイルが突っ込んできたかのような怒号と 衝撃が轟きました。 埃がもうもうと立ち込めるなか、入り口を破壊した張本人は傍にいたボーイにチップを渡し「飼葉と水をやって欲しい」と伝え、乗ってきたバーサーカーを預けるとホール中央まで進み出てステージ上に居るタイガを見据えて言い放った。 「シンデレラ・セイバー。召還に従い武闘会に只今参上した!」 セイバーの口上が静まり返ったホールに響き渡る。 「貴様らが何者であろうと是非は問わぬ!汝らが我が希望を望まぬというのであれば」 月明かりに光る金色の髪に、至玉の宝石の様に美しい瞳に意思が籠る! 「――いざ、死力を尽くして来るがいい!この剣にかけて、貴様らの挑戦に応えよう!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 間違ってるけど当たってる・・・。返答に困る面々・・・。 「えーとね、セイバーちゃん。字が違うの、字が。」 「武闘じゃなくて舞踏。分かり易く言うとダンスパーティーよパーチー」 「だからこんな物騒なモノは必要無いの。先生没収しちゃいます」 さり気無くセイバーに近づき、手にしてある聖剣をセイバーから取り上げた。 「そうでしたか、済まないタイガ。舞踏会とは聞いていたのですが私の勘が戦いを感じ取ったのでつい・・・」 申し訳無さそうに呟くセイバー。恐るべきその直感力。 ―その時。 ホールの天井を貫いて目映い光を放ちながら、ペガサスが流星の拳のように周囲に居た者達を吹き飛ばし着弾した。 「では、サクラ。時間になったら迎えに来ます、健闘を祈ってます」 「ありがとう、ライダー!私やるわ!」 「では」 と、にっこり微笑むサクラを見て満足したのかライダーは天馬を駆って空へ消えていきました。 そして、周りに与えた割と甚大な被害になど目もくれずサクラは、王子様に言いました。 「私ずっと好きでした、先輩!これからもずっと先輩の傍に居ても良いですか?」 恋する乙女の成せる技か?実に単刀直入。前置きなど一切無しでいきなりの告白。 「桜・・・」 やっとの思いで猿ぐつわを外した士郎の口から出た言葉はそれだけでした。 サクラは胸に手を当てて、瞳を潤ませそれ以上何も言わずに士郎を見詰めています。 いきなりの告白にタイガは「おやおや」と言いながらニタリと笑い。 セイバーは、サクラのいきなりの先制攻撃に面食らい気勢を殺がれた。 「くっ、やりますねサクラ。いきなりの先制攻撃とはっ」 片膝をつき、額の汗を拭うセイバー。 「だが、私とてこのまま劣勢に甘んじてる程愚かではない」 意を決したように顔を上げシロウを睨んだ。 「シロウ!」 セイバーの真っ直ぐな瞳に射抜かれて士郎は思わず。 「は、はい!」 と、間抜けな返事をしてしまい自分の情けなさと恥ずかしさに泣き笑いな顔色になってしまってます。 「シ、シロウ、わ、私は・・・っその・・・」 士郎の恥ずかしさが伝染したのか顔を真っ赤に染めしどろもどろになってしまいました。 (セイバーてば、ホント恋愛下手よね。戦争ばっかりしてたから仕方ないのかしら?) 「シ、シロウ!私はあ、貴方の―」「ちょっとまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 セイバーが再び勇気を持ってシロウに告げようと言葉を発しようとした瞬間、ホールを揺るがす大音量で待ったが入ったのでした。 その声の主は、雪も降ってないのに犬ぞりでここまで鞭をくれつつ無理やり辿り着いた、 その者の名は、真紅のドレスを着た奥の手が「鉄拳」必殺技が「右フック」の稀代の魔術師「あかいあくま」こと遠坂凛その人でした。 「な・ん・で・っ!私だけ妙チクリンな犬ぞりなのよ!」 「しっかも!恨みがましい目でコッチを睨んでブツブツブツブツ恨み言を延々と此処に着くまで呟いて!人の気分を台無しにしてくれるわ!最悪よ!」 何やら酷くご機嫌麗しくなく周囲の事などお構いなしにこの後グチが30分程続きました。(カレンが見たら大喜びねきっと) 一通り文句をそして周りに居た人に八つ当たりをして気が済んだのかリンはようやく落ち着きました。そして―― 「衛宮君!!」 「は、はいっ!?」 「私は貴方の師匠で、貴方は私の弟子!そして召使い!」 「だから、私に付いて来なさい!分かったわね!」 「はいっ!!」 「ふふん。よろしい、決まりね。これで良いかしら?」 リンは当然の事の様に腕を組み勝ち誇って居ました。 対する王子様は自分の情けなさに涙が零れました。誰も気にしていませんが・・・。 当然、他の2人も黙ってません。当然ですね、半ば脅しで取った言質な様なモノです。 「ちょっと、姉さんずるい!」 「そうですリン!今のは余にも卑怯だ」 「な、何言ってるのよ!ちゃんと衛宮君も同意したじゃないっ」 と、3人は他の人達の事など忘れ(当然シロウの事も)額に角突合せ激しい口論を展開しています。 「ずるいです!」「ずるくないわよ!」とか「私の方がっ!」「いえ、私が!」「私よ」 等と、互いに譲らない3人。 それなんてラブコメ?と突っ込まれそうな展開になってきましたが! それを許すほどこの世の中は甘くはありません。世知辛いのです世の中は。 「ふっふっふ、そこのラブコメヒロイン気取ってる3人!」 「ムフフトーン全開のストロヴェリィな展開はそこまでよっ!」 「先生、そーゆーの許しませんっ!貴方達にはここで退場願います」 短剣を持ったタイガが、ステージの椅子に括り付けられぱなしなシロウを人質に取っていました。そして悪役の掟のお約束の一つ。ネタばらし。本当の目的を解説するのでした。 「先生の幸せの為に悪いけど貴方達には、此処で消えてもらう事にしたの」 「このままだと先生、完全な色物キャラになっちゃうから・・・」 「ホロウでは、唯一の見せ場だった「タイガ道場」まで無くなっちゃう始末・・・・」 「このままでは存在意義が無くなってしまう訳。分かるかしらこの危機感!焦燥感!」 「幼馴染で、いつも家に居て、お姉ちゃんでしかも教師なのよ?」 「なに?このフラグ立ちまくりな設定!?それなのにっ!なんで出番が無いのよぉっ!」 タイガの独白に3人は半ば呆れ顔で耳を傾けていました。 「そうゆう事だから、貴方達3人には地下牢に入ってもらうわ。ひっとらえぃ!」 「やめろ!藤ねえ!目を覚ましてくれ!みんな構うことは無い闘ってくれっ!」 シロウの必死の説得も空しくシロウを人質に取られた3人は、抵抗もせずに無力化させられ囚われてしまいました。 「ぐっふっふっふ!これで!遂に!Fateの世界に新しい次代の風が吹くのね!」 「PS2版には、新しいルート「藤ねえルート」が追加される事になるのよぉー!」 「Fateは私のモノになるのよお!」 ワアアアアアアアアアアッ!という大歓声。 今、まさにこの時。藤村大河は人生という名の船がまだ見ぬ新大陸を見付けた喜びに打ち震えていたのでした。 「でも残念。詰めが甘いわねタイガ」 「!!」 ―ドス! と、タイガの胸元から剣が生えていました。 何が起こったのかハッキリと理解できないままタイガは、この胸元から突き出てる剣の出所を探ろうと振り返った。 「なっ!弟子一号!!!」 そこにはかつてタイガを師しょーと仰ぎタイガ道場と云う戦場を共に歩いた弟子一号こと ロリブルマイリヤの姿があった。 かつての弟子はタイガに背後から剣を刺し妖しい魔女の微笑を浮かべていた。 ――おおっ、見よ!その姿。 その他大勢の中に居た1人。間桐臓硯が、まるで夢でも見ているかのように呟いた。 「世界に危機が訪れる時、一人の聖女が現れる。其の姿、白銀の髪と紅き瞳を持ち白き衣と紫色の聖衣(ブルマ)を身に纏い世界の闇を払う―」 「伝説は本当ぢゃったぁ〜」 「爺様!爺様!」 一部で何処かの映画を見ているような盛り上がりを見せつつ物語は終局へと進んでいく。 イリヤは、妖艶な微笑を浮かべながらタイガに囁く。 「ふふふ。駄目よ、タイガ。次に出来る追加シナリオは私のなんだから」 「タイガが何か企んでるのは、分かってたから利用させて貰ったわ」 「まさかここまで簡単に事が運ぶとは思ってなかったわ」 「御礼を言っておくわ、師しょー。だんけしぇーん」 そう云うとイリヤは、タイガの傍を離れ椅子に括り付けられたままのシロウの上に座った そうしてタイガは、悪役が言ってはいけない負けが確定する呪文ベスト5の一つを唱えてしまった。 「お、おのれ。ろ、ろりぶるま・・・め」 と、因みに他には「ば、ばかなぁ!」や「貴様ぁ」や「謀ったな!〇〇!」等がある。 そうしてる内にタイガの身体はみるみる実体を失っていった。 これが物語のなかで負けてしまったモノの末路なのであった。 「何か言い残すことはあるかしら?タイガ」 と、最後にタイガに聞いた。 タイガは消えてゆく身体を物ともせずに、笑みを浮かべ言い放った。 「ふふふ、ろりぶるまよ!私を倒した位でいい気にならないことだ」 「必ず!第二第三のタイガが、現れてこの世界を脅かすであろう・・・」 と、何処かで聞いたことのあるような台詞を吐いたのでこれ以上は勘弁ならんと何処からか召還したハリセンでタイガの止めを刺しました。 「イリヤ怖い子ッ!グフッ(ガク)」 断末魔と共にタイガは消えていきました。 こうして冬木国に君臨した暴君タイガ女王は滅び平和が訪れました。 そしてイリヤが前王の直系の血筋と分かりイリヤを新たな女王として迎え冬木国に争いは無くなり平和に暮らしましたとさ。 おしまい
by Raise
初SSで読みづらいと思いますが、頑張りました。 内容は書いていくうちにドンドンあらぬ方向へ向かってしまい。 説明できません(汗)敢えて言うならばPS2版に向けての新シナリオ応援SSです。
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