ライダー○ック

by いしいたける

by いしいたける
それは日曜日の朝の出来事だった。
いつも通り朝食の後片付けをしていると、居間に居残った
ライダーがおよそ彼女には似つかわしくないような
テレビの娯楽番組に真剣に見入っていた。

士郎「あれ、ライダー。
こども向け特撮番組なんかも見るんだ。」

呼びかけに振り向いたライダーの顔は、
賞を取った自分の絵を親に自慢する
小学生のようにきらきらしく輝いていた。

ライダー「士郎。この国ではセイバーなどよりも
私のクラスのほうが英雄として
認知されているのですね。」

士郎「あ、ああ、ライダーもしかして
今見ているの…」

ライダー「この変身する人間は
私がうらやむような高性能の二輪車に
またがり私の生前に多く見かけられたような
グロテスクなモンスターを相手に
華麗な格闘術を用いて活躍する
英雄として描かれています。」

士郎「ま、まあそうなんだが…」

ライダー「この番組は私にはとても楽しい。
私も彼らのような高速二輪車に乗りたいものですが
バイト代が溜まるまではお預けに
なってしまうでしょう。
それよりも彼らは、過去数十年にも渡って
この国において英雄としての
地位を認められている。
同じクラスに身を置くものとしては
むやみに嬉しくなるものです。」

このように他愛も無いことで
無邪気に喜ぶライダーの姿は
珍しいものだけれど、見た目通りのクールな
面よりも3人姉妹の末っ子らしいかわいい
こういう一面のほうが素のライダーの
本質なのではないかと思う。

ライダー「ときに士郎。
私もこの国における彼らの人気に
あやかって、ベルレフォーンに次ぐ
必殺技を彼らから学んで
この先の戦いにおいて
駆使していきたいと思います。」

士郎「げげ、それはまさか…
ダメだライダーそれは、
そこには著作権という名の大きな障害が立ちはだかる
禁断の領域であり…」

ライダー「チョサクケン?
剣ならセイバーの領域でしょう。
私はこの技、この先随分と愛着を持って
ことあるごとに愛用するようになるでしょう。」

士郎「お願いだライダー。
そこまででやめておいてくれ。
さすがのオレでもそれ以上は責任を
負うことが…」

ライダー「行きますよ士郎、
ご覧ください。
これが私の新必殺技、

ライダーーーー!!!!
キーーーーーーッ…」


(ぷつっ)

(この放送は強制的に終了されました。)
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