「ツモ、一発裏３で６０００オールです。」 またもやのセイバーの声に対して悲鳴があがる。 「おいおい、勘弁しろよ。なんだそのツモは、イカサマかぁ？」 とはランサーの弁。 対面の葛木先生はというと、何も言わずに6000点分の点棒を場に出していた。 俺も6000点分の点棒を場にだす。 それと同時に自分の点棒を確認すると、もはや残り少なくなっていた。 次で親のセイバーが倍満をツモれば、ハコ割れだ。 「ふむ、純粋に運の差が出たか。」 ここまで何もしゃべらなかった先生が一言漏らす。 そう、俺たちは四人で麻雀卓を囲んでいた。 なぜこんなことになったのか・・・ ---第一回　冬木市麻雀王決定戦--- 今、衛宮邸では四箇所に別れて計１６名で予選を行っている。 俺が所属するA卓ではくじ引きの結果、ランサー、セイバー、俺、葛木先生での予選となっている。 まぁ、結果は見るまでも無くセイバーの一人勝ち状態なのだが。 ランサーも間隙をついて和了る（あがる）のだが、セイバーの絶対的ともいえる運に歯が立たない。 「流石セイバー、そこまで引きが強いとは。」 セイバーはとにかく引きが強いのだ。 何せまだ南２局だというのに一発ツモが４回。 こんなのにどうやって勝てというのだ。 「さて、一本場ですね。ここで士郎を飛ばして終わらせるとしましょう。」 ---場面が切り替わってB卓 「リーチよリーチ、今度こそ上がってやるんだからー！」 B卓では虎が吼えていた。 「もう、タイガうるさい！まじめに考えてるんだから静かにしてよね！」 とは銀色の少女の弁。 「・・・」 そして言葉を発することなく黙々と場を進めるバーサーカー。 「ふははは、その程度のリーチ、我の前でなんの意味がある！」 とまぁ、金色の人もそろいB卓はなかなかににぎやかな様相を呈していた。 現在トップはもちろんギルガメッシュ。 打ち方は凡庸ながら、その配牌（最初に配られる牌）がすごかった。 まさに黄金律。配牌でドラ４など、普通はありえない。 「ローン！」 そして、その英雄王に直撃を決める虎が一匹。 「ふ、雑種がいくら我にたて突こうとも我のトップには変わりなかろう。さて、いくらだ？」 「字一色に大三元で６４０００てーん！」 場所を移してC卓。 なぜか遠坂の部屋が使われていた。 この卓はB卓とは打って変わってあの手この手を使っての知略戦になっていた。 それはそうであろう、卓を囲むはキャスター、遠坂凛、カレン、（黒）桜という鬼も尻尾を巻いて逃げ出す面子だ。 ここだけ、まるで南極にでも来たような空気の冷たさがある。 それでいてサウナのように汗を流すにも適している。 もちろん冷や汗なのだが。 本当に麻雀をやっているのだろうか、この四人。 ヤクザの麻雀でもここまで空気が重くはなるまい。 そして最後にD卓。 バゼット、アーチャー、ライダー、アサシンと普段であれば接点すらなさそうな面子が卓を囲んでいる。 黙々と、淡々と場が進んでいく。 ちなみに順位はアサシン、アーチャー、ライダー、バゼットだ。 バゼットは勝負事には弱いし、ライダーは運がない。 自然とアサシンとアーチャーの一騎討ちとなっていた。 「ふむ、それはポンしておこう。」 アーチャーがアサシンの中を鳴いた。 「ほう、それを鳴くのか。よいのか？君と私の点差はその手で追いつくには少々開きすぎているぞ？」 そう、アサシンが二位のアーチャーをおよそ１万点離してのトップを護っている。 「別にこれがオーラスというわけでもあるまい。とりあえずは流れを作り、場を整えながらトップを取る。幸い私の親もまだ残っているしな。そう難しくもなかろうよ。」 「なるほど、さすがはアーチャー。搦め手からくるか。その名に恥じぬ戦術よな。」 とまぁ、アーチャーとアサシンが皮肉の言い合いをするくらいだ。 ---時間は進んで決勝戦 「お、おい。本当にこれをやるのか？遠坂」 「当然でしょ。そのほうが盛り上がるじゃない、せっかくギャラリーもいるんだし。」 ギャラリーと言っても予選で負けた連中くらいだ。 少なくはないが、別に何か演出が必要というわけでもないのだが。 「レ､レディース＆ジェントルメン。こ、これよりー、冬木市麻雀王決定戦、決勝戦を行います。」 あえなくA卓で予選敗退となった衛宮士郎が（なぜか）マイクを片手に声を張り上げながらアナウンスをしている。 「まずは東家の入場です。」 なぜか決勝卓が準備された道場は無駄にライトアップされ、足元にはドライアイスの煙幕とえらい凝り様だ。 演出担当を買って出た遠坂は満足気に頷いている。 「勝負事にはめっぽう強く、その強運は全てをねじ伏せる。冬木市一の負けず嫌い、騎士王の名は伊達じゃない！セイィーバァー！！」 セイバーが堂々と臆することなく道場へと足を踏み入れる。 そしてなぜか道場で酒盛りをしながら盛り上がるギャラリーたち。誰かどうにかしろ、この酔っ払いども。 「続きまして、南家の入場です！」 道場の入り口に人影が現れる。 「庶民の相手はお手の物、足りぬ運は技術で補う。柳洞寺の鉄壁の番人、アサシンことささぁきー、こじぃーろぉー！！」 麻雀のために集まったというのに相変わらずの陣羽織。麻雀するのにあの服装だと邪魔にならないのか？ 「続いて西家の入場です！」 道場の入り口に現れる新たな人影。 「役満以外は狙わない、予想は大穴、有る意味本命。その一撃は英雄王をも貫いたぁ、冬木の虎。ふじぃむらー、たぁーいぃーがぁーー！！」 「タイガー言うなー！」 暴れながら入場する虎。 ちゃっかりと入り口付近でランサーが抱えていた日本酒をかっぱらって一気飲み。 酒臭い息を吐きながら入場してきた。 「最後、北家の入場です。」 そして四人目の人影が道場の入り口に現れる。 「権謀術数渦巻くC卓を勝ち抜いたのはこの人。貴様本当に神の使徒か？その腹の中はどこまで黒い、カレン・オルテンシアァーー！！」 いつもの野暮ったい教会の僧服に身を包んだカレンが道場へ入ってくる。 卓の脇でマイクを握り、乗り乗りの選手紹介をしている士郎をにらみつけ 「・・・駄犬の分際で。どうやら後でちゃんと躾をしないといけないようね。」 そのカレンのつぶやきに士郎はたじろぐ。 そしてギャラリー（と書いて酔っ払いと読む）の盛り上がりが最高潮を見せる中、四人が卓を囲む。 そして、決勝戦の火蓋が切って落とされた・・・！

by ぢる

まず最初に謝ります。麻雀わからない人ごめんなさい
それとキャラの応援作品じゃなくなってます。ごめんなさい
こういうのがあったら面白いんじゃないかなーと書いてみました
なんでバーサーカーが普通に卓を囲んでるのとか士郎ってこんなキャラじゃないよね？とか細かい突っ込みは禁止で

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