月下の戦塵
「…泡沫の 夢を想わば 現化す 其れは願いを 信じこそ也」 辺りを包む闇。その隙間を縫って一筋の光が差し込む。 「雲が切れた、か」 山門を護りし己は、詩を詠むことと、 「………雅。」 月光を愛でること。それ位しか楽しみがない。 現界して幾日か、只私は時を待つ。 ______________________________ 「…つまらん街だ」 無理に己を光らせる街を、我は歩む。 『何ゆえに卑小な姿を飾る必要があるのだ。小さくとも形(なり)を魅せる方法など幾らでもあろうに。』 誰ともなく呟いた言葉は、夜の闇へと消えていった。 「ほほう。」 唸った。腐った街でも月までは腐らんと見える。その輝きは賞賛に値した。 「我より、目立つつもりか?」 そっと奴(つき)に賛辞をくれてやった。 ______________________________ そんな彼らが山門の半ば、満月の下(もと)で出会った。 ______________________________ 「臭い魔力(におい)がしたから来てみれば…」 「彼の御仁が臭い、か。言い得て妙ではあるな。だが御相手は私が仕(つかまつ)ろう」 王は宙から剣、その柄を取り出す。侍の刃が月光に輝く。 しなやかな刃。尊大な剣。 幾合か刃を交えると、王は呟いた。 「惜しいな。その刀、我に預ける気はないか」 「それも一興。だが…、私も剣士ゆえ」 「そうか。気に入った。名前を教えるがいい。冥府の使いに教えてやる。」 侍は月下にて名を詠う。 「我が名は佐々木小次郎。貴公は」 「我(おれ)か?」 王は黒のコートを脱ぎ捨て、金色の鎧を現界させた。 「我(おれ)は我(おれ)だ」 財宝を保管する門、それを呼び出す。 「ゲート・オブ・バビロン」 侍。その距離を己がものにする。 「秘剣。…」 刀(物干し竿)の切っ先が多次元空間を描く。 財宝。…門の鍵が今開いた。 ______________________________
by 満月すばる
以前書いた作品を載せてみました!! さて、誰がこの饗たる世界の頂点に立つのでしょう!! (*´U`*) 結果は、まだかなぁ☆ 楽しみで眠れないデスョネ!!!
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